店長「アイアンを造る、デザインするのって
 何が一番苦労する と思います❓」

質問「やさしいアイアン、
 飛ぶアイアンにするのをどうするか…ですか❓」

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店長「やさしいクラブ って
 アイアンにとって
 もしかすると 作り手(デザインする)側と使い手側に
 一番の齟齬のある部分
 かも知れないですね。

 飛ぶってのは ある意味、数値化し易いので
 方法論は別として 共通し易い ですが、
 やさしさってどれを指すか、かなり違うと思います。」

質問「やさしいクラブって
 ミスに寛容なクラブってコトですよね?」


店長「そうだと思います が
 使い手側からすると主に 方向の安定を指す と思うんですが
 作り手(デザインする)側からすると 距離の安定、
 同じ距離や似た弾道で
✊ を指すことが多いです。

 ソコの違いって 結構、使い方にも影響してくると思うんですね。」

質問「ですね。」

店長「作り手側のやさしさ 似た距離を似た弾道で✊
 って テーマは ロフト角度によって異なって来ます。
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 フェアウェイウッドで考えると
ロフト15度の3番ウッドに必要な やさしさ と
ロフト30度の11番ウッドに必要な やさしさ は
 共通していないです。

 とは言え フェアウェイウッドやユーティリティは
 使うロフトが ある程度 角度が集まっているので
 問題はそれほど顕在化され難いのですが、
 アイアンの場合は 立っているモノと寝ているモノで
 30度近くの開きがあるので
 その やさしさの違い、移り変わりを
 どう視覚的に、形状的に流れとするか、
 変な変化にならないよう抑えるか、
という点が
 一番難しい点です。

 ロフトの大きな(寝た)モノにとって
 ボールを上げるのは簡単ですが、
 当たり前にですが ロフトの立ったモノにとって
 ボールを上げるのは難しい。
 キャビティ形状の重心が低い、深いモノにとって
 立ったロフトのクラブ・番手は
 その真価を発揮しますが、
 ロフト角度が大きくなってきてしまうと
 打ち出しが高くなるコト、スピンが増えるコト に
 エネルギーが喰われてしまい過ぎになります。

 逆に マッスルバックのように
 ボールが上げにくい特性のヘッドにとって
 ロフトの立ったモノは ヘッドスピードの低い人には
 安定した距離が確保し辛いですが、
 ロフトの寝たクラブでは その真価を発揮できます。

 30度のロフトの推移は
 言い換えれば つかまえる〜こする の推移と言って良く
 ロフトが増えれば 機械的にボールをこすって
 距離をロスさせるような仕組みです。
 それを スイング・クラブの使い方・振り方で
 変えなくて良いようにするためのモノ 
とも言えます。」

質問「なるほど。」


店長「キャビティバックの大型アイアンの
 一番の長所は 上がり易い 
 ロフトが小さなモノでも打ち易い、
 しかし 上がり易いが故に 
 製品としてロフトが立ってしまい、
 そのロフトの推移の幅が大きくなり過ぎてしまう
 長所でもあり、欠点でもあります。
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 ロフトが大きなモノに 上がり易い は
 距離が安定し辛い、同じ弾道になり難い、
 と言う欠点になってしまうので
 どこかで それを補正しなくてはイケナイ ですが
 変化の幅が大きいので 途中、
 形状の違いが露わになってしまう。

 一方、マッスルバックのアイアンは
 ボールが上がり難いので ロフトが立っていない、
 ロフトの推移幅が狭くなります。
 それが故に 番手ごとの形状の変化が少ない。

 マッスルバックアイアンの一番の長所はソコです。