ゴルフクラブだけに限りませんが
歴史や変遷というのはとても大切です。
その変遷はかなりスイングに影響を与えます。



多くのゴルファーは気づいていませんが、
概ねゴルフスイングを形作るのは
ゴルフクラブの性格や性質によるものです。


上がりやすいクラブを長く続ければ
上がらないような振り方を覚えやすく
その逆は 上がるスイングを覚えることに
なり易いでしょう。



人間が出来るのは
おそらく 概念 というか
イメージとして ボールってこうやって打つんだろう…
程度の事なのです。



ゴルフスイングの変化はクラブの変遷
意外にも製造技術の変化(進化)によるものが
大きかったりします。

40年以上前は ウッドは木製 でした。

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反発係数の理屈を理解していない人が今は殆どですが、
ウッドが木製の頃は 逆にこの反発係数が高いことが
ネックだったのです。


反発係数は別名「インピーダンス理論」と言って
ボールと打つものの素材の硬さの関係です。
その硬さが近ければ近いほど ボールは歪まず
その打撃力はボールの速度になります。

木製ヘッドは 今よりもずっと ボールの硬さに近かった為
ボールが歪まず、スピンが入りません。
ですので ベンホーガン理論のような
スピンをたくさん書ける 
ヘッドターンのねじるスイング が主流だったのです。

と 同時に このころは
鉄製のアイアンヘッドの製造技術も 今に比べ 劣悪で
重心距離の長い 面の長いヘッドは製造出来ません。
接着技術も悪かったですから ネックの長い
重心の高い、小振りなアイアンです。


そのアイアンの小振りなヘッドを使う使い方と
ウッドの使い方に整合性があったので
そのスイングが主流でした。


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ところが 鉄(メタル)製ヘッドが出てくると
その打ち方では ボールにスピンが掛かり過ぎます。
従来 成人男性でも 12度以上のロフトの有ったドライバーは
そのお陰で 9度〜10度が主流になります。


従来のスピンを増やす系のスイングをするプロは
ここで脱落します。


スピンをかけないスイングをするプロが増え始めます。

今思うとやはりすごいなー と思うのは
スピンが必要な用具が全盛のころから
ジャックニクラウスが一人だけ
スピンをかけない系のスイングをしていました。
その扱い方でも十分なまでにスピンをかけられる体力
スピードがあったという事ですね。
ですので 用具がメタル・大型化 になっても
彼だけはスイングを何もいじらず 長きに渡って
活躍できたという事です。

ニクラウス

やや若いですが、同じ変遷期を過ごした
日本のジャンボ尾崎は このスイングに気付き
早くからニクラウスの振り方を追いかけます。
メタル・大型時代に適した彼の振り方は
日本のゴルフを席捲することになるのです。

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このころから アイアンの製造技術も上がり
面の長い 重心距離の長いモノも出始めます。

ウッドヘッドの大型化 アイアンヘッドの大型化は
重量の効果を増やします。 飛距離を伸ばす要素が増えます。


重心の長いものは長尺化と相性が良く、
ロフトが立ってきたこともありますから
全体的な長尺化が進みます。


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タイガーウッズはすごい選手だと思うのですが、
この道具のメカニズムとスイングの関係が掴めず
キャリアの中盤から苦労することになります。

私生活や彼の心情までは読めませんから
あくまでも 道具との関係で推測してみますが、
彼は元々ニクラウス系のスピンをかけないスイングで
デビューしています。
そのスイングであっても 十分スピンが掛かるスピードと
パワーを持っていましたね。

ところが 彼の活躍の始まる時代、
元々 インピーダンス理論によって
スピンのかかりやすいメタルヘッドは
構造を変え、低重心化、と 長尺化へと進みます。
つまり スピンの掛かり難いもの になっていくのです。

彼の振り方とはあまり相性が良くありません。

本来は ここらへんで クラブを学び
自分のモデルを構築すればよかった ような気が
今更ですが しますが、
彼はあくまでも 開発者ではなく
 打ち手 の道を進みます。

活躍もあり、契約メーカーを変えたことが
彼のゴルフ人生を生涯変えてしまったように思えます。

彼のスイングとマッチする為
高重心 ローロフト 短尺 という
若かりし頃、彼の代名詞となったのが
タイトリスト 975D というドライバー です。


このクラブを使ったことにより
彼はスイングを前世代的なスピンを変える系の
スイングへと変わっていきます。


飛ばすが代名詞で在ったこともあり
スピンをかけるスイング自体は大きく変えず
煽り打つことによって 距離を稼ぐ道へ進みます。


飛ばし屋 と呼ばれるタイプのプロは
当然 動作速度が速いですから
ニクラウスのような シンプルなスピンをかけない系の
スイングで スピンのかかりやすいクラブを使う
というのが 体の負担を考え
選手寿命を延ばし 故障を抑える と言う意味では
圧倒的に有効なのですが…。


彼は あえて 体を捻り 上を向く
負担の大きい スピン系のスイングで
スピンの掛かり難いクラブを打つ方法を
やり続けます。

私個人の意見ですが
彼のクラブの扱い であれば
問題はアイアンの方にあったと思います。
元々のスイング スピンをかけないスイングは持続し
アイアンを変えれば良かったと思います。

十分にすごい選手ですが
その選択の間違いが ニクラウスを超えられなかった
原因ではないかと思うのです。
彼がシンプルなスピンをかけず 煽らないスイングを続け
それに合わせ アイアンを変えていれば
前人未到の記録を作ることになったのでは と思います。

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メタル 大型化 の時代に合わせて
ニクラウスもジャンボもアニカソレンスタムも
重心距離の長いアイアンを選んでいます。


彼だけが 重心距離の短いアイアンを好んでいます。
高校時代から使っているアイアンのタイプを
ほぼ全く変えず今も使っています。

煽り打ちのドライバーと
重心距離の短いアイアンの組み合わせだと
ボールの置き位置をかなり極端に変えなくてはなりません。


だから 必要以上にアドレスに神経質 だったのでしょう。



現在の多くの選手は
タイガーウッズと同じ道を歩んでいます。
おそらく ほとんどの選手は
契約金もありますが、
クラブの特性とスイングの関係性を軽く見ています。
よって 自分でスイングに合わせたモデルを
開発することも出来ないのでしょう。


今のウッドとアイアンの重心距離の関係や
スピン性能からすると
ボールの置き位置を大きく変えねばならず
それが より煽り打ちを呼び込み
その煽り打ちが自分の体を蝕み
選手寿命が短くなることを気付いている人は
とても少ないと思います。


本来 職業選手は アマチュアよりも
安定度が高いのは勿論ですが、
カルーーーーく振っているのに 飛ぶ
というものだったはずですが、
いまは アマチュアよりも速く強く振れることが
プロの証のようになってしまい、
スイングの質も ものすごい良いスコアで回れる
アマチュア程度まで下がってしまっていると思います。

一つの推測ですが、
小さいころから ゴルフクラブや機会を与えられることで
ゴルフをやって来ていますから
知識や自分で探ってみようとする意識が薄いように思えます。

sos

何をしても壊れない 体の反り が大丈夫な頃に
覚えてしまった煽り打ちを
プロで行う事の怖さが分かった時には引退です。

そのスイングで プロのスコアを出すのには
シンプルなスイングをするプロの 数倍の練習量が
必要ですから
契約金なども含め 相当な額を稼いだとしても
生涯の収支報告書は赤字のような気がします。